薬と制度
ゼップバウンド72週終了後はどうなる?保険の上限・自由診療の費用・飲み薬の承認状況を確認
公開:2026-11-01 / 原稿確認:2026年11月1日 / 運営:AI Mediaz
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この記事の結論
- 肥満症でのゼップバウンドの保険診療は、国のガイドラインで「最大72週間」(睡眠時無呼吸症候群に使う場合は別のガイドラインで最大52週間)。72週を超えて同じ流れで保険投与を続けることは想定されていません。
- 72週のあとは「食事・運動療法で維持」「悪化したら原則6か月以上の食事・運動療法を経て再投与を検討」「自由診療で全額自己負担」のどれかになります。自由診療は10mgの薬価だけで4週あたり約3.6万円が目安です(診察料などは別)。
- 飲む肥満症薬オルホルグリプロンは、日本では肥満症で申請済み(2026年2月にイーライリリーが公表)。米国では2026年4月に承認。日本での承認・薬価は2026年11月1日時点で未定です。

保険の対象になる条件や3割負担の薬代そのものは「肥満症の保険診療(ウゴービ・ゼップバウンド)の条件と自己負担」で、やめた後の体重の資料は「GLP-1をやめた後の体重はどうなる?」でまとめています。この記事は「72週が近づいた人が、次に何を決めればいいか」に絞ります。
ゼップバウンド72週終了後、保険で続けられる?
肥満症に使うゼップバウンド(成分名チルゼパチド)は、厚生労働省の「最適使用推進ガイドライン」に沿って使う薬です。ガイドラインの「投与の継続・中止について」では、投与は最大72週間とされています。理由は、日本人を対象にした臨床試験の主な評価期間が72週間だったためと説明されています。この部分は、2026年5月に改訂された最新版のガイドラインでも同じです。
そもそも保険で使えるのは、高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれかがあり、食事・運動療法を行っても十分な効果が得られず、「BMI27以上で肥満に関連する健康障害が2つ以上」または「BMI35以上」に当てはまる人です(ほかに施設の要件などもあります)。
つまり、72週は「ここまで使えば効果が保証される期間」ではなく、「日本人のデータで確かめられた範囲の上限」です。72週に達したら、そのまま保険で打ち続けるのではなく、いったん区切りになると考えておくのが安全です。
なお、ゼップバウンドは2026年4月1日から長期処方(1回に長い期間分を出すこと)ができるようになったと日本イーライリリーの医療関係者向け情報にあります。ただし、長期処方ができることと、72週の上限は別の話です。1回に出せる量が増えても、投与期間の上限は変わりません。
72週より前に終わることもある
ガイドラインには、上限より前に中止を考える場面も書かれています。
- 3〜4か月使っても改善の傾向がないときは中止する
- 十分に体重が減ったときは、続ける必要があるかを慎重に考え、72週を待たずにやめて食事・運動療法だけで管理することも考える(臨床試験では5%以上の減量を達成した人の割合が評価項目の1つ)
「72週まで使える」と思っていても、途中で終わる可能性はあります。予算を組むときは「最長72週」として見ておくと、ずれが少なくなります。
72週を終えた後の選択肢は?(比較表)
| 選択肢 | 何をするか | 薬代の負担 | 確認すること |
|---|---|---|---|
| ①食事・運動療法で維持 | 薬をやめ、栄養指導・運動を続ける | 薬代なし(診察・指導は保険の範囲) | 通院の頻度、体重の記録の付け方 |
| ②悪化したら保険で再投与を検討 | 原則6か月以上、計画に沿った食事・運動療法を行い、それでも必要なときに再開 | 3割負担の例:10mgで4週あたり約1.1万円 | 再開できる条件・上限週数の数え方を主治医に確認 |
| ③自由診療で続ける | 保険を使わず、全額自己負担で処方を受ける | 10mgの薬価ベースで4週あたり約3.6万円+各院の診察料・送料 | 価格は各院が自由に決める。副作用が出たときの受診先 |
②の「再投与」はガイドラインに書かれた考え方で、中止後に肥満症が悪化した場合は、まず食事・運動療法がきちんとできているかを確認し、原則として6か月以上続けても必要な場合に限って再び使うとされています。必要性を十分に検討したうえで、6か月より早く再開を考える余地も書かれていますが、判断するのは医師です。
再投与のときに72週の上限が改めて数え直されるのかは、ガイドラインの文面だけでは読み取れませんでした。ここは必ず主治医か処方施設に確認してください。
ゼップバウンドの72週の総額はいくら?(薬価で試算)
ゼップバウンドは2024年12月27日に承認され、2025年3月19日に薬価基準に収載、2025年4月11日に発売されました(日本イーライリリーの発表)。1キット(1回分)の薬価は次のとおりで、2026年11月1日時点の KEGG MEDICUS の表示も同じ金額です。
| 用量 | 1キットの薬価 | 4週(4本)10割 | 4週 3割負担の目安 |
|---|---|---|---|
| 2.5mg | 3,067円 | 12,268円 | 約3,700円 |
| 5mg | 5,797円 | 23,188円 | 約7,000円 |
| 7.5mg | 7,721円 | 30,884円 | 約9,300円 |
| 10mg | 8,999円 | 35,996円 | 約10,800円 |
| 12.5mg | 10,180円 | 40,720円 | 約12,200円 |
| 15mg | 11,242円 | 44,968円 | 約13,500円 |
※薬代だけの計算です。診察料・検査料・管理栄養士の指導料・調剤の費用は含みません。3割は四捨五入した目安で、実際の窓口負担とは差が出ます。
添付文書の標準的な使い方(2.5mgから始め、4週ごとに2.5mgずつ増やして10mgで維持)で、2.5mg・5mg・7.5mgを各4週、残り60週を10mgとした例を計算すると、72週の薬代は次のとおりです。
- 10割(薬価そのもの):約60.6万円
- 3割負担:約18.2万円
用量は体重の減り方や副作用で変わるため、これはあくまで1つの例です。
72週のあとに自由診療で続けるといくら?
自由診療(保険を使わない診療)では、薬代はクリニックが自由に決めます。今回、ゼップバウンドの自由診療価格を各院の公式ページで確認できなかったため、ここでは公表薬価を10割にした金額を「下限の目安」の参考として示します。実際の価格はこれより高い院も、仕組みが違う院もあります。
- 10mgを4週:35,996円(薬価ベース)
- 10mgを半年(24週):215,976円(薬価ベース)
- 10mgを1年(52週):467,948円(薬価ベース)
これに診察料・送料・定期契約の条件が加わります。定期契約の縛りや解約の条件は、申し込む前に必ず書面で確認してください。
また、同じ成分チルゼパチドの「マンジャロ」は国内では2型糖尿病の薬で、体重を減らす目的で使うのは適応外使用です。自由診療で処方される仕組みと注意点は「GLP-1ダイエットは「適応外」?」で説明しています。適応外使用では、重い副作用が出ても医薬品副作用被害救済制度の対象外になる場合があります。
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PR|まんじろう(自由診療のオンライン診療)
処方の可否・薬の選択・用量は医師が判断します。普通体重の方の美容・痩身目的の使用は勧められません。効果には個人差があり、減量を保証しません。
治療内容・費用:医師のオンライン診療後、マンジャロ等を処方・配送する自由診療です。広告主指定条件は2.5mgの6か月プランで薬代総額51,000円(税込、月割8,500円)、診察料0円、送料2,200円別です。月割額は単月購入の価格ではありません。配送・請求回数、解約時の未利用分の精算、他用量の料金は契約前に確認してください。
主なリスク:吐き気・嘔吐・下痢・便秘・腹痛、低血糖、急性膵炎、胆嚢炎・胆管炎、イレウス、アナフィラキシー・血管性浮腫など。妊娠中・授乳中、1型糖尿病、BMI18.5未満など、公式サイトが処方不可としている条件があります。
承認・入手経路:マンジャロは国内では2型糖尿病の効能で承認された薬で、痩身目的は適応外使用です。公式サイトは国内正規品のみを扱うと説明しています。肥満症には別の承認薬がありますが適応・保険の条件が異なります。美容・痩身目的の安全性・有効性は確認されておらず、適応外使用では医薬品副作用被害救済制度の対象外になることがあります。海外の情報も含む個別の安全性・入手経路は処方医に確認してください。
公式の治療内容・条件・問い合わせ先/リスクの出典:PMDA添付文書/メーカーの適正使用情報(広告条件確認日:2026年10月27日)
ウゴービの終了後と何が違う?
同じ肥満症の保険薬ウゴービ(成分名セマグルチド)も、ガイドラインで上限が決まっています。違いは主に上限の週数です。
| 項目 | ゼップバウンド | ウゴービ |
|---|---|---|
| 成分 | チルゼパチド | セマグルチド |
| 保険での投与期間の上限 | 最大72週 | 最大68週 |
| 上限の根拠 | 日本人を対象とした臨床試験の評価期間 | 日本人の臨床試験で68週を超える使用経験がないため |
| 改善傾向がない場合 | 3〜4か月で中止 | 3〜4か月で中止 |
| 中止後に悪化した場合 | 原則6か月以上の食事・運動療法の後、必要なら再投与 | 原則6か月以上の食事・運動療法の後、必要なら再投与 |
「ウゴービは68週、ゼップバウンドは72週」と、4週の差があります。途中で薬を切り替えた場合の数え方などは個別の判断になるため、主治医に確認してください。薬ごとの成分や副作用の違いは「リベルサス・マンジャロ・オゼンピックなどの違い」にまとめています。
オルホルグリプロンは日本でいつ承認される?
オルホルグリプロンは、イーライリリーが開発している1日1回飲むタイプの肥満症薬(低分子のGLP-1受容体作動薬)です。中外製薬が創製し、イーライリリーがライセンスを受けたと同社は説明しています。
日本での承認申請の状況
イーライリリーの2025年第4四半期の決算発表(2026年2月4日)で、オルホルグリプロンを肥満症で米国と日本の規制当局に申請したと公表されました。
一方、日本で承認されたという公式発表は、2026年11月1日時点で確認できていません。承認の時期、日本での商品名、薬価、保険の対象になるか、ゼップバウンドのようなガイドラインの対象になるかは、すべて未定です。
米国では2026年4月に承認
米国では2026年4月1日にFDA(米国食品医薬品局)が承認し、商品名は「Foundayo」です。肥満の成人、または体重に関連する病気がある過体重の成人に、食事と運動と組み合わせて使う薬とされています。食事や水の制限なく、1日1回いつでも飲めることが特徴として発表されています。
米国では最も低い用量の自費価格が月149ドルからと発表されていますが、これは米国の価格で、日本の価格の目安にはなりません。
72週を終える人にとっての意味
注射薬(セマグルチドやゼップバウンド)で72週治療したあと、飲み薬に切り替えて52週の体重維持を調べた米国の試験(ATTAIN-MAINTAIN)の結果も、イーライリリーから発表されています(2025年12月)。ただし、日本では未承認なので、現時点で72週後の選択肢として国内で保険を使って選べる薬ではありません。海外から個人で取り寄せることは、偽造品や健康被害のおそれがあるので避けてください。
72週が近づいたら何をする?(チェックリスト)
- [ ] 投与を始めた日と、72週に当たる日をカレンダーに書く
- [ ] 60週ごろの受診で「72週後の計画」(やめ方・維持の方法)を主治医と話す
- [ ] 中止後の体重・血圧・血糖をどの頻度で測るか決める
- [ ] 悪化したときの再投与の条件(6か月の食事・運動療法など)を確認する
- [ ] 自由診療を考えるなら、薬代・診察料・送料・解約条件を書き出して総額で比べる(トップの総額の計算が使えます)
- [ ] 副作用(吐き気・下痢などの胃腸症状、強い腹痛など)が出たときの連絡先を確認する
副作用と注意点
ゼップバウンドの添付文書では、吐き気・嘔吐・下痢・便秘・腹痛・食欲の低下などの胃腸の症状や、注射した部分の赤み・かゆみが主な副作用として挙げられています。重大な副作用としては、低血糖、急性膵炎、胆のう炎・胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸、アナフィラキシー・血管性浮腫、腸閉塞(イレウス)が記載されています。持続する強い腹痛や嘔吐があるときは、すぐに医療機関に連絡してください。
効果や副作用の出方には個人差があります。続ける・やめる・切り替えるの判断は、必ず主治医に相談してください。
よくある質問
Q. ゼップバウンドは72週を過ぎても保険で打てますか? A. ガイドラインでは投与は最大72週間とされています。72週を超えて同じ流れで保険投与を続けることは想定されていません。中止後に悪化した場合の再投与の考え方はありますので、主治医に確認してください。
Q. 72週の前にやめることもありますか? A. あります。3〜4か月で改善の傾向がない場合は中止、十分に減量できた場合も72週を待たずに中止を考えるとガイドラインに書かれています。
Q. 72週のあと自由診療で続けると月いくらですか? A. 価格は各院が決めます。参考として、10mgの薬価を10割にすると4週あたり35,996円で、これに診察料や送料が加わります。申し込む前に総額で比べてください。
Q. ウゴービなら72週より長く使えますか? A. ウゴービの上限は最大68週で、ゼップバウンドより4週短い設定です。
Q. オルホルグリプロンは日本で使えますか? A. 2026年11月1日時点で、日本で承認されたという公式発表は確認できていません。肥満症での申請は2026年2月に公表されていますが、承認時期・薬価は未定です。
Q. 薬をやめたら体重は戻りますか? A. 海外の臨床試験では中止後に体重が増えた結果も報告されていますが、個人差があります。資料は「GLP-1をやめた後の体重はどうなる?」にまとめています。
参考資料
公開時の確認日:2026年11月1日。資料の公開日・対象時点は各リンク先をご確認ください。
- 日本イーライリリー「ゼップバウンド 薬価基準収載ならびに発売日のお知らせ」(2025年3月19日)
- 最適使用推進ガイドライン チルゼパチド(肥満症)令和7年3月(令和8年5月改訂)PMDA掲載(最新版。対象患者・最大72週・3〜4ヵ月で中止・72週を待たずに中止の考慮・原則6ヵ月以上の後の再投与を原文で確認)
- 令和8年5月18日付 医薬薬審発0518第2号(OSAS版の作成・肥満症版の一部改正の通知。PMDA掲載)
- 最適使用推進ガイドライン チルゼパチド(肥満症)令和7年3月版の掲載PDF(投与の継続・中止の本文確認に使用)
- 最適使用推進ガイドライン セマグルチド(肥満症)令和5年11月版の掲載PDF(最大68週・再投与の本文確認に使用)
- Lilly Medical(日本)ゼップバウンドの投与期間に関するQ&A(長期処方・最大72週)
- KEGG MEDICUS ゼップバウンド皮下注アテオス(現行薬価・添付文書の副作用・用法用量を確認)
- Eli Lilly 2025年第4四半期決算リリース(2026年2月4日。オルホルグリプロンを肥満症で米国・日本に申請と記載)
- Eli Lilly「FDA approves Lilly's Foundayo (orforglipron)」(2026年4月1日)
- Eli Lilly 2026年第2四半期決算リリース(2026年8月5日)
- 日本イーライリリー(米国発表の日本語訳)ATTAIN-MAINTAIN試験の結果(2025年12月18日)
- ゼップバウンド皮下注アテオス 電子添付文書(PMDA。副作用の記載。既存記事 hoken-tekiyou.html の出典を参照、今回本文の直接取得はできず)