薬と制度
GLP-1ダイエットは「適応外」? 自由診療で処方される仕組み
※この記事にはアフィリエイト広告(成果報酬型広告)を含む場合があります。確認日:2026年10月26日
結論
- リベルサス・オゼンピック・マンジャロの、国が承認した効能・効果は「2型糖尿病」です。ダイエット(痩身)目的で処方するのは、承認された使い方と異なる適応外使用です。
- 適応外使用は、医師の判断で自由診療として行われています。ただし日本糖尿病学会は2023年に、こうした処方をうたう広告を問題だとする見解を出しています。
- 適応外使用で重い副作用が出た場合、医薬品副作用被害救済制度の対象外になることがあります。肥満症の薬として承認されたウゴービ・ゼップバウンドにも、保険診療の条件があります。

薬ごとの承認された効能・効果
| 薬(成分) | 使い方 | 承認された効能・効果(添付文書) |
|---|---|---|
| リベルサス(セマグルチド) | 毎日飲む | 2型糖尿病 |
| オゼンピック(セマグルチド) | 週1回注射 | 2型糖尿病 |
| マンジャロ(チルゼパチド) | 週1回注射 | 2型糖尿病 |
| ウゴービ(セマグルチド) | 週1回注射 | 肥満症(条件あり)、肝硬変を伴わないMASH(条件あり) |
| ゼップバウンド(チルゼパチド) | 週1回注射 | 肥満症(条件あり)、中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(条件あり) |
| サクセンダ(リラグルチド) | 毎日注射 | 国内では承認されていない(PMDAの医療用医薬品の一覧にない)。クリニックが輸入して使っている |
ウゴービ・ゼップバウンドの「肥満症」は、高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれかがあり(ゼップバウンドの効能・効果は2026年5月の改訂(第5版)で耐糖能障害に拡大。ただし保険給付は高血圧・脂質異常症・2型糖尿病の場合に限る)、食事療法・運動療法で効果が不十分で、BMI35以上またはBMI27以上で健康障害が2つ以上ある場合に限られます。詳しくはBMIと保険診療の条件。
なぜ自由診療で処方できるのか
医師は、自分の判断と責任で、承認されていない使い方で薬を処方することがあり、ダイエット目的のGLP-1の処方もこの形で、保険を使わない自由診療として行われています。2026年10月に確認したクリニックの多くは、公式ページに「肥満治療目的の使用は国内で承認されていない」と書いています(クリニック別の料金一覧の「主な副作用・承認」の欄)。
ウゴービ・ゼップバウンドを自由診療で買える場合も、保険診療の条件(BMI・合併症・施設の要件)を満たさない人への処方は、その条件の外での使用です。最適使用推進ガイドラインは「痩身・ダイエットなどを目的に投与してはならない」としています。
学会・国・メーカーの注意
- 日本糖尿病学会(2023年11月):2型糖尿病の薬を美容・痩身・ダイエット目的で自由診療として処方するとうたう広告を、適応外使用として問題視し、専門医が不適切な使用を勧めることは認められないとしました。
- 日本肥満学会(2023年策定・2025年改訂のステートメント):健康障害のない肥満や、普通体重の人の美容・痩身目的には使わないとしています。
- 厚生労働省(2023年):品薄を受けて、医療機関に買い込みの自粛を、卸に承認外の目的と明らかな場合は納入しないよう要請しました。
- メーカー(ノボ ノルディスク ファーマ、日本イーライリリー):2型糖尿病の効能だけで承認された製品を美容・痩身目的に使うことは、安全性・有効性が確認されておらず、健康被害のおそれがあるとしています(最新の更新は2026年7月)。
- 国民生活センター(2023年12月、2026年6月):痩身目的のオンライン診療での定期購入トラブルに注意を呼びかけています。
医薬品副作用被害救済制度との関係
この制度は、医薬品を適正に使ったのに重い副作用が出た人に、医療費や年金などを給付する国の制度です(PMDAが運営)。給付の前提は「適正な使用」で、基本は添付文書に書かれた効能・効果、用法・用量、使用上の注意に従って使うことです。使用目的・方法が適正と認められない場合は対象外とされています。適応外使用がすべて対象外と決まっているわけではなく、個別に判断されますが、多くのクリニックが「救済制度の対象外」と書いています。
GLP-1の薬の主な副作用は、吐き気・嘔吐・下痢・便秘などの胃腸の症状です。低血糖や、まれに急性膵炎などの重い副作用も報告されています。詳しくはGLP-1の主な副作用を見てください。
受ける前に確認すること
- 保険診療の条件に当てはまらないか(BMIと保険診療の条件)。当てはまるなら、まずかかりつけ医や内科に相談する
- 処方される薬が、国内で承認された薬か、輸入品か(クリニックの公式ページに書かれています)
- 副作用が出たときの連絡先と、中止・解約の方法
- BMIが普通の範囲なら、薬は向きません
参考にした情報(確認日:2026年10月26日)
- GLP-1受容体作動薬およびGIP/GLP-1受容体作動薬の適応外使用に関する日本糖尿病学会の見解(2023年11月28日)
- 日本肥満学会 肥満症治療薬の安全・適正使用に関するステートメント(2025年4月改訂)
- GLP-1受容体作動薬及びGIP/GLP-1受容体作動薬の適正使用に関するお知らせ(ノボ ノルディスク ファーマ・日本イーライリリー、PMDA掲載)
- 厚生労働省 GLP-1受容体作動薬の適応外使用に関する注意喚起の状況及び供給状況について
- 最適使用推進ガイドライン セマグルチド(肥満症)令和8年6月改訂
- ゼップバウンド 添付文書(2026年9月改訂)、マンジャロ 添付文書、リベルサス 添付文書、オゼンピック 添付文書
- PMDA 医療用医薬品 リラグルチド一覧
- 医薬品副作用被害救済制度 給付の対象(PMDA)
- 国民生活センター(2026年6月23日)